顎関節症は20~30代に比較的多く発症する傾向があり、男性よりも女性に2、3倍も多く 十数年内で15倍にも増加したともいわれます。
男女間における発生頻度の差がなぜあるのかということに関しては、未だに解明されていませんが 女性は男性と比較して骨格や顎関節付近の靱帯が脆弱であるという身体的な違いの他に、女性は 痛みやストレスに対して敏感であることや、自身の健康に対して関心が高いことが影響しているといわれています。 また一説には女性ホルモンが関与しているなどともいわれています。
10代半ばからの有病率の増加は、その時期に成長発育が終了し、顎関節に適応能力が無くなることが大きく関係しています。また、その頃から精神的なストレスも多くなるなどが考えられます。
30代以降において減少するのは、症状が改善するのではなく症状に慣れてしまうため、受診率が減少するためではないかと考えられています。
最近、顎関節症を訴える人が増加した理由は、様々なストレスが多くあり、不規則な生活を強いられるような生活や、食生活の欧米化などが関係しているのではないかと言われています。
顎関節症では、まず患部を安静にする、問題のある生活習慣を改善する、薬を服用するなどの治療が優先されます。
<主なセルフケア>
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○歯を接触させない
くいしばりをしない。歯を接触させるのは物を噛むときだけで
通常は上下の歯を接触させないようにする。
「唇を閉じ、上下の歯を離し、顔の筋肉の力を抜く」 -
○硬いものは食べない
痛みや口が開けづらい症状がある場合は、しばらくは硬いものを食べないよう注意する。 -
○口を大きく開けない
無理に口を大きく開けない。突然大きな口を開けない。食事の際は顎に対する負担を抑えるために食べ物を細かくして食べるようにする。あくびや長い時間の開咬にも注意をする。 -
○冷湿布、温湿布
急な痛みがある時は冷湿布を使用。冷やしすぎると血液循環が悪くなるので注意。
慢性的な痛みには温湿布をすると筋肉の緊張や痛みが緩和される。 -
○マッサージ
あごの筋肉が痛むときはマッサージをすると血行がよくなり痛みが軽減される。
強く揉みすぎないように注意をする。 -
○よい姿勢を保つ
立つ姿勢や座る姿勢を正しく。猫背やあごを突き出す姿勢になっていないか注意する。
同じ姿勢を長時間続けないようにし、ときどきストレッチなどをする。 -
○うつ伏せ寝をしない
うつ伏せは顎や首の筋肉に負担がかかるので、仰向けで寝るようにする。
枕も高いものは避けるようにする。 -
○あごの運動をする
関節や筋肉の痛みが緩和されたら、少しずつ顎の運動を行う。
口の開閉や顎を横に動かしたり、首や肩のストレッチをする。
医師に相談して顎の筋肉エクササイズなどを症状をみながら行う。 -
○リラクゼーション
緊張をほぐし、顎に負担をかけないようにする。仕事などで長時間緊張が続くような場合はときどき緊張を解いて筋肉を休ませるようにする。また、過度なストレスがかからないようにする。 -
○全身運動
ウォーキングや水泳などの全身運動をする。基礎体力の維持や全身の血行をよくする他に気分転換やストレス解消の効果もある。 -
○あごに負担をかけない生活
歯を食いしばるスポーツ、管楽器の演奏、口を大きく開ける発声練習などにも注意。
頬杖をつかない、食べ物は両奥歯で噛む、など顎に負担をかけないようにする。