矯正治療のゴールとは

■当医院の目指す歯ならび、かみ合せ歯列矯正治療のゴールとは

私たちは患者様の幸せを第一に考え、きれいな歯並びと口元を伴った機能美、健康美を提供するように努めております。

・顔貌(がんぼう)について

「矯正治療は美しくするためだけの医療ではないが、美しく調和をとるための医療である」という理念のもと、口元の改善にもこだわりを持って治療を行います。
歯列の長期的安定には軟組織(口腔周囲筋や舌)との調和がとれていることが必要であり、そのバランスが不安定であれば後戻りを引き起こす原因になります。
そのため矯正治療後には口唇の前突感が改善する事、また口を閉じた時と楽に開けた時の口元がほぼ同一である事を目標にしております。

正しい噛み合わせの評価について

ABO(The American Board of Orthodontics)の客観的評価基準を目標に矯正治療を行います。
1、 Alignment(配列) 前歯部の配列:上顎は口蓋側の連続性、下顎は唇側部の連続性を評価します。
臼歯部の配列:上顎は近遠心的中心溝、下顎は頬側咬頭の連続性を評価します。
2、 Marginal ridges(辺縁隆線) 臼歯の垂直的な位置づけの評価を行うための指標。歯や歯周組織の状態が健全な場合において隣接する歯は同じ高さかどうかを評価します。
3、 Buccolingual inclination(頬舌的傾斜) 上下顎歯列における歯の頬舌的な傾斜を評価します。
4、 Occlusal relationships(咬合関係) 上下顎歯列における犬歯、大臼歯関係 一級を目標とし、その評価をします。
5、 Occlusal contacts(咬合接触) 機能咬頭(上顎臼歯の舌側咬頭、下顎臼歯の頬側咬頭)の接触を目標として、その評価をします。
6、 Overjet(オーバージェット) 前歯部は下顎切歯切縁が上顎切歯舌側面に接する事を目標として、その評価をします。
7、 Interproximal contacts(隣接面コンタクト) 咬合面観において歯列内の空隙の閉鎖を目標として、その評価をします。
8、 Root angulation(歯根の近遠心的傾斜) 歯根の平行性の確立を目標として、その評価をします。

頭部X線規格写真を用いた評価について

治療後に個々の顎顔面形態の特徴に合わせた適正な前歯歯軸に改善する事を目標にします。
詳細なデータをもとにしたそれぞれの患者さんに合わせた治療ゴールの設定とシュミレーションを行い、明確な目標を定めて矯正治療を行います。 また生体の反応や骨格のコントロールの可否の確認のために、重ね合わせ(フィードバック)による評価も行います。

・ 機能的な評価について

顎関節や個々の歯にとって最善の噛み合わせを作ることを目標とし、矯正治療によって顎関節症の予防や改善を試みます。
1、顎位 咬頭嵌合位(こうとうかんごうい:よく噛める位置)と顆頭位(かとうい)である中心位(アゴにとって一番心地よい位置)の一致を目標として、その評価を行います。
悪い歯並びによりアゴにとって一番良い位置とよく噛める位置にズレが生じてしまうと、顎関節に負担がかかり続けます。
矯正治療により咬頭嵌合位と中心位を一致させて顎関節症の予防や改善を行います。
2、適正なガイド(下顎の側方運動、前方運動路)の確立を目標とし、その評価をします。
「咀嚼」はワニのような単純な蝶番運動のみではなく、モノをすり潰し、噛み砕いたりするので下顎を左右、前方向に動かします。
その際に上下の歯が接触をして下顎を左右、前方向へ動かしますが、顎関節や歯にとって理想的な誘導路が存在します。(例えば下アゴを右に動かす時は右の上下犬歯だけが当たり、他の歯が接触しない状態)
個々の骨格や歯の形態、欠損状況によって理想的な誘導路が変わりますが、矯正治療でその方に一番適した「誘導路」を作る事が可能です。

参考資料:矯正臨床の基礎(与五沢監修 与五沢研究会編著)