「フッ素でむし歯予防!」というキャッチフレーズをよく聞きます。ではこの“フッ素”とはどのようなものなのでしょうか?
フッ素はミネラルの一種です。 フッ素は地球上に広く存在している自然のものです。人体中(特に歯や骨に多い)はもちろん 地殻・海水・河川・植物・動物など、あらゆるものに必ず含まれています。
フッ素が含まれていない飲食物は地球上に存在しません。成人の場合、必須栄養素として1日3mg必要とされています。
(体重1kgあたり0.05mgが適正摂取量)
《フッ素塗布の効果》
虫歯になる原因に対して、フッ素塗布の以下のような働きが「歯」と「お口の中の細菌」に作用し、虫歯になりにくくする効果があるとされています。
- 1. 唾液中に含まれるミネラルの沈着を促進し、再石灰化を助ける
- 2. 歯の質を強化し、酸から歯を溶けにくくする
- 3. 酸の生成を抑える
《乳幼児・子どもへの効果》
「生えたての乳歯」や「生えたての永久歯」は、歯の質が弱く虫歯になりやすいため フッ素を塗ると予防効果を大きく期待できるとされています。
《成人への効果》
歯周病や部分入れ歯の使用によって、顎の骨や歯茎が痩せて(吸収して)しまい 普段なら歯茎で覆われているはずの歯の内部のセメント質や象牙質が露出してくることがあります。 セメント質や象牙質はエナメル質(歯茎から上の歯の表面部分)よりも弱く虫歯になりやすいため 歯ぐきが露出してしまった場合には、フッ素を塗ることで虫歯のリスクを下げることに役立つとされています。
《フッ素塗布の手順》
- ①歯をきれいに磨いた後、歯の表面をしっかりと乾燥させます。
- ②歯ブラシ、または、脱脂綿にフッ素を染み込ませ歯に塗布します。
- ③塗布後、30分程、うがいや飲食を避けてもらいます。
歯に直接フッ素を塗るので、市販の歯磨剤よりも効率的に取り込むことができます。
《医療機関で受けるフッ素と、歯磨き粉剤に含まれるフッ素の違い》
これら2つの違いは、フッ素の濃度にあり、期待できる効果も少し異なります。 歯科や市町村の保健センターなどの医療機関で使用する高濃度のフッ素(9,000~123,000ppm)は 歯質の強化を特に期待することができます。一方で、薬局やスーパーなどで販売されている フッ素配合の歯磨き剤などに、含まれる低濃度のフッ素(500~1,000ppm)は 使い続けることで再石灰化の促進や、酸を作る力を抑えることを期待することができます。 これらを併せて行うことで、虫歯予防の効果がより高まります。